公共工事の安定性はどれくらい?予算推移・制度の仕組みからキャリアの描き方まで解説
建設業の現場で経験を積んできた方なら、「来年も今と同じくらい仕事があるんだろうか」と、ふとした瞬間に考えたことがあるかもしれません。民間工事中心の会社で景気の波に左右された経験がある方ほど、「公共工事は安定している」という言葉が気になるのではないでしょうか。結論から言えば、公共工事の予算は10年以上にわたり高い水準を維持しています。
国土強靱化実施中期計画によって2030年まで見通しが立っており、設計労務単価も13年連続で引き上げられている状況です。ただし、「安定=何もしなくていい」というわけではなく、書類業務の多さや入札制度への理解が求められる側面もあるでしょう。この記事では、公共工事の安定性を予算データと制度面から整理し、公共工事中心の会社で働くメリットや注意点、キャリアの築き方までを解説します。
公共工事が「安定している」と言われる理由

この章では以下の3つの視点から、公共工事の安定性の根拠を整理します。
- 発注者が国や自治体である構造的な安定性
- 設計労務単価が13年連続で引き上げられている
- 国土強靱化実施中期計画で2030年まで予算が見通せる
発注者が国や自治体である構造的な安定性
公共工事の最大の特徴は、発注者が国・都道府県・市区町村といった行政機関であるという点です。民間工事の場合、発注者である企業の業績が悪化すれば工事の中止や延期が起こり得ますが、公共工事は年度予算で組まれた事業をもとに発注されるため、景気後退の影響を受けにくい構造と言えるでしょう。加えて、公共工事の代金は税金を原資としているため、民間工事で時折問題になる支払い遅延が起こりにくいとされています。中小の建設会社にとって、資金繰りの見通しが立ちやすいことは経営面でも大きな安心材料と言えるでしょう。
設計労務単価が13年連続で引き上げられている
国土交通省が令和7年3月から適用した公共工事設計労務単価は、全国全職種の加重平均で24,852円となりました。平成25年度の改定以来、13年連続で引き上げが続いています。
ちなみに、改定前の平成24年時点と比較すると、設計労務単価は約1.9倍にまで上昇しています。主要12職種(現場労働者の約8割を占める)の単純平均でも前年度比5.6%の上昇があり、国土交通省はこの背景として「公共工事での賃上げの加速化」を挙げました。設計労務単価は公共工事の予定価格を算出する基礎となるため、この引き上げは現場の技術者にも間接的に還元されやすい仕組みと言えるでしょう。
国土強靱化実施中期計画で2030年まで予算が見通せる
2025年6月に閣議決定された「第1次国土強靱化実施中期計画」は、2026年度から2030年度までの5年間にわたり、防災・減災を中心とした114の施策に20兆円強の事業規模を見込んでいます。このうち約10.6兆円がライフラインの強靱化に充てられる計画です。この中期計画は、令和7年度末に終了した「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の後継にあたるもので、少なくとも2030年までは国としてインフラ整備に大規模な予算を投じ続ける方針が明確に打ち出されたと言えます。転職先として公共工事中心の会社を検討する際、こうした中長期の予算見通しは判断材料のひとつとなるでしょう。
参考:令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について|国土交通省
公共工事の予算推移と今後の見通し

この章では、公共事業関係費と建設投資額の推移を具体的な数字で確認します。
- 公共事業関係費は10年以上にわたり6兆円台を維持
- 2026年度の建設投資は80兆円超
- インフラ老朽化・防災需要の長期的な影響
公共事業関係費は10年以上にわたり6兆円台を維持
令和7年度の公共事業関係費(政府全体)は約6兆858億円で、前年度比30億円の増額となりました。2014年度以降、10年以上にわたって約6兆円規模の当初予算額が維持されています。補足として、これに加えて補正予算でも公共事業費が毎年追加されています。令和6年度の補正予算だけでも約2.4兆円が計上されており、当初予算と合算すると年間の実質的な公共事業支出は当初予算の数字を大きく上回る規模と言えるでしょう。
2026年度の建設投資は80兆円超
建設経済研究所の発表によると、2025年度の建設投資が約76兆7,800億円、続く2026年度は80兆9,400億円に達したとみられ、建設投資額が80兆円を超えるのは1996年度以来、30年ぶりの水準にあたります。このうち国や自治体が主導する「政府分野の投資」も2026年度には24兆6,500億円(前年度比7.7%増)を記録する規模となっており、新しく始動した「国土強靱化実施中期計画」による大規模な予算投入が、市場の確固たる下支えとなっていることが伺えます。
インフラ老朽化・防災需要の長期的な影響
国土交通省の資料によれば、日本の社会インフラの多くは高度経済成長期に整備されたもので、建設後50年以上を経過する施設の割合は年々高まっています。橋梁やトンネル、河川管理施設、下水道管渠の老朽化対策は待ったなしの状況で、これが公共工事の需要を下支えする構造的な要因となっています。実は、朝水技研が手がける揚排水ポンプ設備も、こうした老朽化更新の対象に含まれるでしょう。農業水利施設や自治体管理の排水機場の多くは建設から数十年が経過しており、ポンプの分解整備や制御盤の更新、除塵機の取り替えといった仕事は今後も継続的に発生すると見込まれています。
公共工事中心の会社で働くメリットと注意点

安定性だけに注目するのではなく、実際に公共工事中心の環境で働くときのメリットと注意すべきポイントを見ていきましょう。
- 受注が安定しやすく、支払い遅延が起こりにくい
- 社会インフラを支えることのやりがい
- 書類業務の多さと入札制度への理解は必要
受注が安定しやすく、支払い遅延が起こりにくい
公共工事中心の会社に勤める最大のメリットは、受注の波が民間工事ほど激しくない傾向にあるという点でしょう。発注元が行政機関であるため、工事代金の回収リスクが低く、資金繰りが安定しやすい傾向にあります。従業員の立場から見ると、「来月の仕事が突然なくなる」という不安を感じにくい環境と言えるでしょう。一方で、公共工事の受注には入札参加資格が必要であり、経営事項審査(経審)の評点がその後の受注に影響します。会社としての信用力が問われる世界であるため、転職先を選ぶ際は入札参加資格を保有しているかどうかがひとつの判断基準となるでしょう。
社会インフラを支えることのやりがい
公共工事は道路・橋梁・河川・上下水道・農業水利施設など、私たちの生活基盤に直結するインフラが工事の対象となっています。排水機場のポンプが止まれば地域が冠水し、農業用水路が機能しなければ食料生産にまで影響が及ぶ可能性があります。こうした「止めてはいけないもの」を動かし続ける仕事には、民間工事とは異なる使命感と手応えがあるでしょう。補足として、建設業就業者の年齢構成は55歳以上が約4割を占め、29歳以下は約12%にとどまっています。国土交通省のデータによれば、就業者数は令和6年時点で477万人にまで減少しており、10年後には60歳以上の技能者の大半が引退することが見込まれています。裏を返せば、若手の技術者は公共工事の現場でますます希少価値が高まっていくと考えられます。
書類業務の多さと入札制度への理解は必要
公共工事ならではの注意点として、民間工事と比べて書類業務のボリュームが多い点でしょう。施工計画書・工事写真・品質管理記録・安全管理記録など、発注者への提出書類が細かく定められている点は覚えておく必要があります。また、入札の仕組みや工事成績評定の制度に関する知識も、公共工事の現場では欠かせないものとなるでしょう。工事成績評定は次回以降の入札に影響するため、品質と工程の管理が会社の将来の受注に直結するという緊張感もあります。ただし、これらは経験を重ねることで身につくスキルであり、転職後に先輩技術者から学びながら習得していくケースが多いとされています。
公共工事の安定性を活かしてキャリアを築くポイント

公共工事の安定した環境でキャリアを伸ばしていくために、押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
- 入札参加資格を持つ会社を選ぶ
- 資格を取得して専任技術者・監理技術者を目指す
- 複数業種を扱える会社で技術の幅を広げる
入札参加資格を持つ会社を選ぶ
公共工事の安定性を享受するためには、まず入札参加資格を保有している会社に所属することが前提となるでしょう。転職先を探すときは、会社概要や建設業許可の情報を確認し、入札参加資格の有無や対応業種を確認するとよいでしょう。
資格を取得して専任技術者・監理技術者を目指す
公共工事の現場では、建設業法により主任技術者や監理技術者を配置しなければなりません。これらの立場に就くためには、1級または2級の施工管理技士などの国家資格が必要です。補足として、令和6年度からは1級電気工事施工管理技術検定の第一次検定が19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受験可能になりました。工業高校や高専出身の方は実務経験要件が短縮される制度もあるため、キャリアの早い段階から資格取得を目指すことが公共工事の世界で評価される近道と言えるでしょう。
複数業種を扱える会社で技術の幅を広げる
公共工事中心の会社のなかでも、1つの業種だけを扱う会社と、複数の業種を横断的に扱える会社とでは、技術者として身につく経験の幅が大きく異なります。たとえば、機械器具設置・電気・電気通信といった複数の建設業許可を保有する会社であれば、ポンプの据付工事から制御盤の電気工事、遠方監視の通信設備まで一貫して関われる可能性があるでしょう。
たとえば千葉県千葉市に拠点を置く朝水技研は、揚排水ポンプ設備の設計・施工・維持管理を主力事業とし、機械・電気・電気通信の3業種の建設業許可を保有する体制を整えています。公共工事比率は約9割にのぼり、農業水利施設や排水機場といった社会インフラの案件が中心です。資格取得に関わる交通費・講習会・参考書の費用はすべて会社負担となっており、資格の種別に応じた資格手当も毎月支給される制度が整っています。
安定したキャリアを描くために

公共工事の安定性は、予算面、制度面、そして構造面の3つの柱で支えられています。若手技術者の希少価値は今後さらに高まると見込まれ、資格を取得して専任技術者や監理技術者を目指すことが、今後のキャリアを築くためのポイントと言えるでしょう。こうした公共工事の安定した環境で、社会インフラに携わりながら技術の幅を広げたいという方には、揚排水ポンプ設備を中核に据えた建設会社がおすすめです。
朝水技研は、千葉県千葉市を拠点に揚排水ポンプ設備の設計・施工・維持管理を手がける会社であり、地改良区向けの農業水利施設や自治体向けの排水機場・雨水排水ポンプ場などの公共工事が約9割にのぼります。機械器具設置・電気・電気通信の3業種の建設業許可を保有しており、千葉県内でこの3業種を一体で扱える建設業者はごく少数にとどまります。ひとつの会社にいながら、ポンプの機械据付から制御盤の電気工事、遠方監視の通信設備まで幅広い実務経験を積める環境は、技術者としてのキャリアの選択肢を広げてくれるでしょう。
資格取得支援として、毎月の資格手当支給の他、資格取得に関わる交通費・講習会・参考書はすべて会社負担。現場で稼ぎながら次の資格を狙う流れがつくりやすい仕組みです。創業以来 離職者ゼロという少数精鋭の働きやすさもあり、長く現場で技術を磨きたい方には心強い環境のひとつでしょう。