電気通信工事施工管理技士の年収はいくら?1級・2級の差や将来性まで解説
電気通信工事の現場で経験を積んできた方なら、「この資格を取ったら自分の年収はどう動くんだろう」「1級と2級でどれくらい差がつくんだろう」と気になるものではないでしょうか。公共インフラの更新や設備の遠隔監視化といった現場が増えるなか、施工管理側に軸足を移すことを考え始めた方もいるかもしれません。
結論から言えば、電気通信工事施工管理技士の平均年収は1級で約552万円、2級で約547万円という民間集計データがあり、施工管理技士のなかでも上位の水準にあります。令和6年度の制度改正で受験資格が大きく緩和されており、防災インフラの整備や設備のIoT化需要を背景とした業界の成長性も相まって、これから取得する方にとって追い風が吹いている資格と言えるでしょう。
この記事では、電気通信工事施工管理技士の平均年収を求人サイトと国の統計の両面から整理し、1級と2級で差がつく制度的な理由、地域・年代・企業規模での違い、年収を上げるための具体的な方法までを解説します。
電気通信工事施工管理技士の平均年収は約552万円

この章では以下の3つの視点から、平均年収の実態を整理します。
- 求人サイトの実勢値
- 国の統計データとのギャップ
- 1級・2級・経験別の年収レンジ感
建職バンクの実勢では1級552万円・2級547万円
建設業界に特化した転職サイト「建職バンク」のデータによれば、1級電気通信工事施工管理技士の平均年収は約552万円、2級では約547万円とされています。両者の差は数万円程度にとどまり、資格区分そのものよりも所属する会社の規模や扱う案件の種類、経験年数のほうが年収に大きく影響する傾向が読み取れるでしょう。
ちなみに、「求人ボックス」が公開している通信工事関連の年収データを見ると、電気通信工事施工管理技士は電気主任技術者よりも約1割程度高い水準にあり、通信工事の現場作業者と比較すると110万円以上の差が生まれているという集計結果もあります。施工管理側に立場を移すことで、年収面のインパクトが大きい資格のひとつと言えるでしょう。
国の統計と求人サイトのギャップ
求人サイトの数字は「これから入社する人」に提示される実勢価格である一方、厚生労働省の「job tag」や賃金構造基本統計調査が公開している通信工事業の平均値は、長年勤めている技術者や管理職クラスまでを含んだ平均となっています。同じ職種でも数字に差が出る背景には、こうしたサンプルの違いがあるという点を理解しておくと、複数のデータを正しく読み解けるでしょう。
転職先の検討では、求人サイトの中央値レンジを「自分が入社直後に提示される金額の目安」、国の統計を「将来この業界で長く働き続けた場合の到達点の目安」として両方を参照するのがおすすめです。
350万〜700万円のレンジ感
実は、電気通信工事施工管理技士の年収は、350万円台から700万円台までかなり幅があると報告されています。20代の若手で施工管理経験がまだ浅い段階では300万〜400万円台、現場代理人を任されるようになると500万〜600万円台、1級を取得して監理技術者として大型案件を統括する立場になると700万円超も視野に入るという段階構造があるでしょう。
1級と2級で年収が変わる制度的な理由

平均値の差はわずか数万円ですが、長期で見ると1級保有のほうが年収を伸ばしやすい構造があります。この章では制度面から見ていきましょう。
- 作業範囲と配置できる立場の整理
- 1級は会社が受注できる工事規模を広げる
- 2級でも年収アップは十分に狙える
作業範囲と配置できる立場の整理
電気通信工事施工管理技士は、建設業法上の「主任技術者」「監理技術者」「専任の技術者(営業所技術者)」に配置できる国家資格となります。1級は元請として下請代金の総額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)になる現場で「監理技術者」として配置することが可能で、特定建設業の許可要件にも対応している点でしょう。
2級は一般建設業の許可範囲で「主任技術者」や「営業所の専任の技術者」として配置できる立場と整理できます。会社が請け負える工事規模に直接影響するため、1級保有者は会社にとって「より大きな案件を受けるためのキーパーソン」と位置づけられるでしょう。
1級は会社が受注できる工事規模を広げる
1級電気通信工事施工管理技士が在籍することで、会社は特定建設業の許可を維持しやすくなり、公共工事の入札参加資格でも有利に働きやすい傾向があるでしょう。会社の売上の幅と直結するものとなるため、1級保有者には資格手当や昇給で報いる傾向が強くなるのは自然な流れと言えます。
補足として、令和6年度の制度改正により、第一次検定の受験資格が大幅に緩和されました。受検年度の末日(3月31日)時点で、1級の第一次検定は19歳以上、2級の第一次検定は満17歳以上であれば、学歴や実務経験を問わず受験できる新制度となっています。
参考サイト:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります|国土交通省
2級でも年収アップは十分に狙える
1級と2級の平均年収差は数万円程度にとどまり、2級保有でも市場価値は高まる傾向にあるでしょう。資格手当の支給や昇給査定の対象になりやすく、転職市場でも「無資格」と「2級保有」では応募できる求人の幅が大きく変わるという声もあります。
補足として、電気通信工事施工管理技士は2019年(令和元年)に約30年ぶりに新設された施工管理技士の一種で、まだ全国の保有者数が他業種に比べて少ないとされています。希少性の高い資格であることからも、取得しておく価値は十分にあると言えるでしょう。
地域・年代・企業規模で年収はこう変わる

平均値だけでは見えにくい年収の幅を、3つの軸で整理します。
- 地方別・関東県別の地域差
- 年代別の年収カーブ
- 企業規模による違いと求人実勢の解釈
地方別・関東県別の地域差
求人ボックスをはじめとした民間集計データを地方別に並べると、関東・近畿・中部の3エリアが上位を占める傾向があります。
| 地方 | 平均年収の目安 |
|---|---|
| 関東 | 約580〜600万円 |
| 近畿 | 約560〜580万円 |
| 中部 | 約540〜560万円 |
| 九州・沖縄 | 約490〜510万円 |
| 東北・北海道 | 約470〜490万円 |
関東圏のなかでも県別に見ると、東京・神奈川・千葉・埼玉でレンジに差が出てきます。
| 都県 | 平均年収の目安 |
|---|---|
| 東京都 | 約610〜630万円 |
| 神奈川県 | 約580〜600万円 |
| 千葉県 | 約550〜570万円 |
| 埼玉県 | 約540〜560万円 |
年代別の年収カーブ
厚生労働省が公表している最新の賃金構造基本統計調査(通信工事業ベース)の集計を年代別に並べると、20代前半が約400万円、20代後半が約470万円、30代前半が約520万円、30代後半が約560万円、40代後半が約620万円、50代前半が約650万円という曲線になります。特徴的なのは、30代の伸び率が大きい点です。1級取得や監理技術者登録のタイミングがこの世代に集中するため、資格保有が年収カーブの形を決めると言っても過言ではないでしょう。
企業規模で年収はどう変わるか
企業規模別に見ると、従業員1,000人以上の大手通信建設会社が最も高く、中堅100〜999人、中小10〜99人と段階的に下がる傾向があります。ただし、これは平均値の話で、中小企業のなかにも資格手当を手厚く設定している会社や、若手のうちから現場代理人を任せて短期間で年収を伸ばせる会社が一定数存在しています。
「大手=必ず高年収」と決めつけずに、資格手当や昇給制度の中身まで確認することが、現実的な数値を把握するためのポイントと言えるでしょう。
年収を上げるための4つの方法

電気通信工事の世界で年収を上げるための実践的な方法を、4つに分けて紹介します。
- 1級電気通信工事施工管理技士を取得する
- 関連資格と組み合わせる
- 公共インフラ・防災システムなどの安定分野にシフトする
- 元請企業や資格手当の手厚い会社に転職する
1級電気通信工事施工管理技士を取得する
最も直接的な年収アップ手段は、1級の取得です。令和6年度の制度改正以降、19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず第一次検定を受験できるようになったため、若手のうちに合格しておけば、その後の実務経験を積みながら二次検定の合格を狙えるでしょう。
関連資格と組み合わせる
電気通信主任技術者や電気工事施工管理技士、電気工事士などの関連資格を組み合わせることで、対応できる工事範囲が広がり、市場価値の向上につながるでしょう。実は、電気通信工事と電気工事の双方を理解できる技術者は会社にとって貴重な存在で、両資格を保有することで現場代理人として任される案件の幅が大きく広がるという声も聞かれます。
公共インフラ・防災システムなどの安定分野にシフトする
景気に左右されにくい公共工事や、需要が急拡大している防災・監視設備の分野へ専門領域をシフトするのも有効と言えるでしょう。近年、農業水利施設や河川の排水機場などにおいて、水位データのテレメーター送信や監視カメラ網の構築、ポンプの遠隔制御システムなど、電気通信技術の重要性が高まっています。こうした社会インフラを支える分野は安定した予算が付きやすく、高い専門性が求められるため、技術者の評価も高くなりやすい傾向にあります。
元請企業や資格手当の手厚い会社に転職する
年収アップの近道として、元請として工事を受注している会社、資格手当を手厚く設定している会社への転職という選択肢でしょう。資格を取得しても会社の評価制度に資格手当が組み込まれていなければ、年収面では大きな差が出ません。
たとえば、千葉県を拠点に揚排水ポンプ設備の設計・施工・維持管理を手がけている朝水技研では、資格の種別に応じて金額を設定し資格手当を支給しているほか、家賃の8割程度を負担する社宅・家賃補助制度も用意されています。
このように、給与水準だけでなく資格手当や補助制度がある会社は、トータルで見ると年収が大きく違ってくる可能性があります。求人を比較するときは、提示年収だけでなく、こうした「福利厚生」の有無や内容もぜひチェックしてみてください。
電気通信工事の将来性は高まる一方

この章では、電気通信工事業界の需要見通しを3つの切り口で見ていきましょう。
- インフラ老朽化対策と防災・減災に向けた「設備のIoT化」需要
- 設備工事受注高は4年連続増
- 若手・中堅技術者の希少価値
インフラ老朽化対策と防災・減災に向けた「設備のIoT化」需要
国や自治体が推進する「防災・減災、国土強靱化」の取り組みにより、全国のインフラ設備の更新が進んでいます。近年はゲリラ豪雨や台風などの自然災害が激甚化していることもあり、迅速な状況把握と機器制御のための「設備のIoT化・ネットワーク化」が求められています。遠隔監視システムや情報通信網の構築など、インフラ整備の要となる電気通信工事の需要は高いと言えるでしょう。
設備工事受注高は4兆円超で4年連続増
設備工事(通信を含む)の受注高は近年4年連続の増加基調を維持しており、4兆円を超える市場規模をキープしています。直近の動向を見てもデータセンター向け工事の受注は非常に好調に推移しており、業界全体の需要は引き続き堅調と考えられます。
若手・中堅技術者の希少価値
電気通信工事業に限らず、建設業全体で就業者の高齢化が進む状況にあると言われています。国土交通省の資料によれば、建設業就業者は約477万人で、55歳以上が約4割、29歳以下は約12%という構成となっています。10年後には現役引退が一気に進む見通しで、若手の電気通信工事施工管理技士は今後ますます希少価値が高まると見込まれるでしょう。
補足として、電気通信工事施工管理技士は2019年に約30年ぶりに新設された資格であるため、保有者の絶対数が他の施工管理技士に比べて少ない状態です。これから取得する方にとっては、市場での評価が上がりやすい局面と考えられるでしょう。
電気通信工事のキャリアを伸ばすには

電気通信工事施工管理技士は、インフラのIoT化や防災需要の拡大という追い風に加え、令和6年度の受験資格緩和によって「注目すべき国家資格」の一つと言えるでしょう。1級を取得して監理技術者を目指すことは、市場価値を高め、確実な年収アップを果たすための王道ルートと言えます。もし、あなたが通信領域の経験をベースにしながら、より市場価値の高いハイブリッドな技術者を目指したいなら、社会インフラを支える現場に目を向けてみるのがおすすめです。
千葉県千葉市に拠点を置く朝水技研は、まさにその幅広い経験を積める環境が整っています。
- 約9割が公共工事: 農業水利施設や自治体の排水機場など、景気の波に左右されない生活インフラ案件が中心。
- 次なる成長フェーズ: 機械器具設置・電気・電気通信の3業種の許可を強みに、特定建設業許可の取得・維持を見据えて体制を強化。
- 定着率とサポート: 資格取得にかかる費用(交通費・講習・参考書)はすべて会社負担。毎月の資格手当も充実しており、創業以来「離職者ゼロ」という少数精鋭ならではの働きやすさが魅力。