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頭首工とは?由来や役割|メンテナンスの重要性について

頭首工とは

頭首工とは、河川の上流から農業用水を送るための施設です。主に農業用水の取水のための施設ではありますが、工業用水や上水道としても機能しており、私達の生活の基盤となる部分を支えてくれています。

この記事では、頭首工とは何か?なぜこのような名前がついているのか?という名前の由来から、幅広い役割についてご説明していきます。

日本全国にある頭首工について、いくつかピックアップをしてご紹介もしていきます。また頭首工のメンテナンスや管理・維持についても、一緒に考えていきましょう。生活に欠かせない施設だからこそ、何か大きな不具合があってからでは遅いのです。老朽化や人員不足といった頭首工維持の問題についても踏み込んでいきますので、ぜひ参考になさってください。

“頭首工”と名前がついた理由

農業用水を河川から用水路に流すための設備を、頭首工といいます。河川をせき止めて水位を上昇させ、農業用水を水路に流しこんでいきます。農業用水の流れを広くイメージした時に上流部分にある施設なので、頭の部分という解釈で頭首工という名前がついています。

“頭首工”という言葉は明治末期から使用されており、令和となった現代でも活用されています。日本人の主食である米を作るには水が必要不可欠です。頭首工の技術は古来の技術が未発達だった時代から、日本の食生活を支えてくれた施設といっても過言ではありません。
参照:農林水産省|第 1 章 頭首工の歴史的経緯

頭首工の設備

頭首工の設備

頭首工を構成する設備について、ご説明します。

大きく4つの施設に分類され、これらが一体となって頭首工として機能しています。

頭首工の設備 役割
取水口 河川から水を取り入れる
取水堰

(せき)

必要な水位を確保する
付帯施設 安全に運用するための設備
管理施設 日常的に管理する場所

頭首工の付帯施設とは

上記4つの設備の中の、付帯施設について少し詳しく説明をしていきます。

  • ゴミなどを除去する除塵機
  • 魚が通るための魚道
  • 舟運や作業船を通すための船通し

魚が通るための魚道は頭首工の左右両側にあり、魚が上下流に行けるようになっていて河川生態系の保全に配慮されています。船通しがついているのは作業船などの通路を確保するためで、維持管理や防災といった面での役割も担っています。

頭首工の働き

頭首工は、通常時と増水時で働きが変わります。通常時の頭首工の役割は、安定した取水を行うというものです。取水口から計画水量を取水して、農業用水を安定供給していくという役割があります。

一方、増水時には水をせき止めずに自然に安全に川に流していきます。洪水などの災害時に頭首工が通常通りに運用されると、上流側の水位が上がり氾濫といったリスクが高くなってしまうためです。

こうして頭首工は農業用水の確保だけでなく、災害時のリスクを抑えるといった役割も担っているのです。

頭首工とダムの違い

頭首工ダム違い

頭首工とダムは見た目が似ていますので、混同されやすい施設です。お伝えした通り頭首工は農業用水を安定的にひくための施設であるのに対し、ダムは水を貯めるのが施設の主な目的となります。

増水時には、頭首工は川の流れを妨げないよう機能しますが、ダムは放流量を調整するという形で洪水対策を行います。似た施設ではありますが、取水をするのか、貯水をするのか、という目的が大きな違いなので覚えておいてください。

日本の農業用水向け頭首工

では具体的に日本にある農業用水向けの頭首工について、ご紹介していきます。

  • 愛知用水頭首工(犬山頭首工)
  • 三方原用水頭首工(三方原頭首工)
  • 大利根用水頭首工(大利根頭首工)
  • 旭川用水頭首工(旭川頭首工)
  • 荒川用水頭首工(六堰頭首工)

愛知用水頭首工(犬山頭首工)

犬山頭首工

左岸を愛知県犬山市、右岸を岐阜県各務原市に位置し、木曽川に設けられたのが愛知用水頭首工(犬山頭首工)です。愛知用水取水口から20キロほど木曽川を下った場所に設置されており、犬山城のすぐそばになります。愛知県内の農業用水、工場用水などに利用される頭首工で、地域の暮らしを支える施設となっています。愛知用水頭首工(犬山頭首工)は、中部地方の社会基盤を支えているといっても過言ではありません。
参照:東海農政局|犬山頭首工の概要

三方原用水頭首工(三方原頭首工)

静岡県浜松市を流れる天竜川に設置されているのが、三方原用水頭首工(三方原頭首工)です。三方とは、農業用水・水道用水・工業用水を意味しています。三方原台地はもともとは農業に不向きな土地で、作物が育たないのが農家の悩みでした。天竜川から取水した水は三方原台地一帯へ供給され、現代では地域農業の基盤を支える水資源となっています。

大利根用水頭首工(大利根頭首工)

日本最大級の河川、利根川に設置されているのが大利根用水頭首工(大利根頭首工)です。施設自体は埼玉県にありますが、埼玉県だけでなく千葉県北部や茨城県南部をカバーしており、関東平野の農作物に貢献しています。主に水田・畑作などの農業用水として利用され、農業の安定経営に欠かせない水源を維持しています。河川水位や利水を調整する役割も担っており、関東の生活インフラを支えています。

旭川用水頭首工(旭川頭首工)

旭川といえば北海道の都市をイメージする方が多いでしょうが、旭川頭首工があるのは岡山県です。旭川用水頭首工(旭川頭首工)は、岡山県の中央を流れる一級河川である旭川から取水する施設です。古くから岡山平野の農業を支えてきたのが旭川であり、頭首工ができてからは水田や畑作など岡山県内の農作物生産を支える重要な水源施設として機能しています。

荒川用水頭首工(六堰頭首工)

埼玉県深谷市にある荒川用水頭首工(六堰頭首工)は、熊谷市を中心に行田市、深谷市、鴻巣市に農業用水を送っています。六つの堰をひとつにまとめたため、六堰頭首工という名前になりました。平成10年度から平成14年度までの5年間をかけ、農林水産省関東農政局大里農地防災事業所により整備され現在の形となり、埼玉県が施設を管理しています。
参照:埼玉県|六堰頭首工って何?

農業用水以外での頭首工

頭首工上水道

頭首工は農業用水に欠かせない施設とされていますが、他の分野にも活用されています。農業用水以外で、どう活用されているのかを詳しくご説明していきます。

  • 上水道用水の取水として
  • 工業用水の取水として
  • 河川水位の調整・利水調整として
  • 環境用水・河川維持流量の確保のため
  • 防災時等施設保護の補助的役割として

上水道用水の取水として

農業用水を用水路に引き入れる目的で設置される頭首工ですが、飲み水など上水道用水としても活用されています。頭首工は取水量を確保するだけでなく、水位が低くても安定取水が可能という点から上水道用水の取水地点としても適した施設となります。例えば、荒川頭首工の水の一部は、新潟県胎内市の上水道に利用されている旨がホームページに記載されています。
参照:荒川沿岸|荒川頭首工について

工業用水の取水として

明治用水頭首工

農業用水としてだけでなく、工業用水の供給拠点となっているのが愛知県豊田市にある明治用水頭首工です。工場の冷却水や洗浄用水として安定した量を供給できる頭首工は、このように工場用水の起点として設けられるケースがあります。明治用水頭首工は令和6年に左岸側の堰柱に水漏れが発覚しましたが、令和8年6月に工事が完了する見込みです。
参照:東海農政局|明治用水頭首工復旧工事の実施状況と今後の予定について

大規模漏水事故が発生した時は、周辺のトヨタ系工場で操業停止や減産を余儀なくされましたが、復旧後は工場の安定稼働につながると期待されています。

河川水位の調整・利水調整として

頭首工は農業用水や工業用水、上水道として利用されていますが、これらの分配を行うのが利水調整です。常に一定の割合で分配をしていればよいというわけではなく、農業用水であれば季節によって必要な水の量が異なりますし、工場用水であれば工場の稼働日によって必要量が変動します。また必要な分の水を取水しながら、堰上げによって水位調節を行うという役割もあります。

環境用水・河川維持流量の確保のため

河川維持流量とは、河川の環境や機能を保つために、常に確保しておく必要がある最低限の水量です。魚類など川に住む生物の環境維持や水質を保持する役割があり、景観を維持するという面でも不可欠です。生きた川を維持し続けていくために、このように環境にも配慮されています。

防災時等施設保護の補助的役割として

洪水などで河川の水量が増加すると、頭首工は上流側の水位上昇を抑制して河川の流下能力を確保しようとします。場合によってはゴミや流木などの漂流物が混じるかもしれませんが、これらを取水口に流入させないようにして用水路を守るという役割もあります。普段の役割としては必要な取水を安定的に行うという点ですが、河川環境の維持や災害時の安全を守るという点でも頭首工は機能しています。

頭首工管理のポイント

頭首工は通常は自動で稼働している部分と、人間が管理している部分があります。施設の安全性を維持しながら河川管理をしていくには、以下のようなポイントを理解しておく必要があります。

  • 水害のリスクへの備え
  • 人員不足への対応
  • コストをどこにかけていくか

水害のリスクへの備え

水害頭首工

近年ではゲリラ豪雨や洪水といった災害が頻発するようになり、河川が急激に増加するという事態が珍しくなくなりました。頭首工を管理していくのであれば、これらの事態に迅速に備えなくてはいけません。増水や豪雨時にはどのような対応をするのか、早期の取水停止判断などについて決めておかなければいけません。またゲート・開閉装置の定期点検や取水口の掃除など、できるメンテナンスを欠かさずに行い備えておきましょう。

人員不足への対応

自動で稼働できる部分があるとはいえ、頭首工の管理には人手がかかります。この業界に限った問題点ではありませんが、高齢化や人員不足、緊急時の人手確保の難しさは大きな課題であるといえるでしょう。できるだけ人員を削減していくには、遠隔管理システムや緊急時の自動警報や通知といったシステムを整えていく必要があります。常駐管理から巡回管理へと考えて、人手不足をカバーしていけるといいでしょう。

コストをどこにかけていくか

頭首工は設備そのものが古いという施設が少なくありませんので、部品の交換などにもコストがかかる場合があります。故障頻度が高くなる前に、予防しながら計画的に改修できるのが理想的です。単純にメンテナンス回数を減らしてコストを削減するという方法は、望ましくありません。点検しやすい、故障しても交換の手間がない、というような設備を整えて、人手不足時代にも対応できるように進化していくのがベストなのかもしれません。

頭首工が機能しなくなると

私達の普段の生活に、頭首工はあまり馴染みのないものかもしれません。しかし頭首工が機能しなくなると、上水道に利用されている地域では生活用水が停止してしまいます。さらに農業用水が停止すれば作物が育たなくなりますし、魚類など生態系への影響がでるかもしれません。頭首工は、地域社会の基盤となっている縁の下の力持ちのような存在だったのです。「頭首工が動かなくなったらどうしよう」ではなく、「頭首工を止めないためには」という点を意識して対策をしていくべきであるといえるでしょう。

「水を止めない」ために

頭首工とは

朝水技研は「水を止めない」というスローガンを掲げています。緊急時でもすぐに対応をし、農業用水路や公共インフラの維持管理を行っております。頭首工も例外ではありません。農業用水を安定して確保するだけでなく、増水時の安全確保や河川環境への配慮など、長期にわたる適切な維持管理が不可欠です。

頭首工の管理は朝水技研にご相談を

頭首工を管理していて、不具合を感じる時はありませんか?

「例年どおりの操作をしているのに取水量が足りない」「開閉に時間がかかる」など心配事があっても、どこに相談をすればよいのかわからずに困っていらっしゃる方がいるかもしれません。金属部の著しい腐食やコンクリートのひび割れなど、目で見てわかる故障だけでなく、なんとなく違和感を感じるという不具合も見逃してはいけません。

壊れてからだと被害が大きくなってしまう可能性がありますので、不具合を感じたら朝水技研にご相談ください。

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